6.総まとめ


みなさん、いかがでしたか?現在、様々な形で語られる和服・和装についてですが、きものファンであるアンケート回答者のみなさんが語る内容は、いずれの問もほぼ同じベクトルに向いていると言えるでしょう。また改めて和服好きな方の多さも感じられたことと思います。

すなわち、和服の良さ、魅力を知ってそれらを熱く語り、年中、毎日でも着物を着ていたいという声の多い事実は、和服・和装を日常生活でも、もっと活用したいというニーズの存在を証明しています。残念ながら現在の呉服販売の現状はこれをなかなか受け止めようとしていないのが現状です。値段の高さを第一にあげた発言の多いこともその現われの一つであると言えるでしょう。ただ、そうした業界批判の声を集めるためにこのアンケートを実施した訳ではありませんので、誤解のないようお願いします。需要者と供給者の繋ぎ手として、僅かでもこのページが互いの意見を伝え合うためにお役に立てばと願ってのことです。

また、現在では和服・和装を語る際に、「伝統」や「文化」と言ったキーワードを最優先に用いて、「きもの」やそれにまつわる「技術」の存在を、「守る」とか「継承する」必要があるとの考えが目に付きますが、和装自体の存在は、そんな弱い立場のものではないと思っています。「守る」のではなく、活用してゆく道を広げることを第一に考えるべきであることも、このアンケートに対する多くの意見が物語っています。

例えば「ふんどし」は、和装以上に語られることのないアイテムですが、アンケートの結果、和装の下着として今でも意外なほど多くの方に愛用されているという事実が得られました。この事実は、誰も表面で語らずとも、良いもの、必要性のあるものは、放っておいても消えずに残っていくものであると言えるよい事例ではないでしょうか?本当の伝統や文化は、現在も含め、時代の中で命を持って生きているものであるはずです。生きているとは、この場合活用されることです。美術品として鑑賞されることを望むものばかりではないことを、改めて捉え直す必要があるでしょう。

和服・和装の「普及」とは、呉服業界が消費者にお願いや説得を行ってなされる結果ではなく、和装本来の良さに利用者自らが気付き、それを体感しながら自然と定着すべき結果でありたいと願っています。そうでなければ、本当の普及とは言えないでしょう。非常に難しいことかも知れませんが、このアンケート結果を見た限りでも、実現不可能なことであるとは思いません。和装品の通信販売についての問を入れたのも、そうした身近な利用の可能性を鑑みてのことでした。

呉服業界サイドの方には、是非とも今までの「呉服および呉服ビジネスの常識」を大幅に見直し、「顧客」ではなく「きものファン」を掴むような製品、商品、サービスの提供を、業界全体で行って欲しいと思います。一方、利用者である我々サイドは、「情報」として一度得られれば解決する問題や、「経験や馴れ」以上のことではない問題についてを大袈裟に取り上げることなく、個々の努力である程度のことは克服して欲しいと思います。

今回のアンケートは、筆者個人にとっても、とても嬉しい成果となりましたが、もっともっと多角的に深く分析すれば、意外と貴重な発見が得られるかも知れません。ぜひ読者の皆さんの手で、新たな分析を行ってみて下さい。きっと新たな和装の世界が開けることでしょう。

「和服・和装」は筆者にとって、この世界で知り得たアイテムの中で、最高に価値あるものの一つです。「和服・和装」は、生産者から消費者、あるいは見る人をも含め、関わる人の心を和ませ楽しませ、そして幸せにしてくれます。衣料品というジャンルを超えた夢のある広がりを持つ、ミラクルなウェア。多くの人が和装に夢を感じる限り、必ずきものには確かな未来があると信じています。
早坂伊織

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