長い歴史と慣習の複雑に絡み合う着物の世界には、意外な言葉がたくさん埋もれています。美しい言葉で織りなされる和装文化の世界も多いのですが、ときどき「おや?」と思うような言葉を呉服屋さんなどで目や耳にすることはありませんか?
たとえば「めくら縞」。「めくら判」「めくら滅法」のように、慣用語としても利用されてはいますが、他の世界ではとうの昔から放送禁止用語になっている言葉です。また、英語に翻訳する際にも問題視されることの多い言葉の一つでもあります。ほかにも「乞食襦袢」「いざり機」など、着物用語にはこの種の言葉がさがせばたくさん出てきます。これらの不適切な用語が商品名などに堂々と印刷されていることも珍しくありません。着物の世界でそれらの用語が現在も使用されていること自体には、用語として以外には何の他意も見当たらないのですが・・・。
しかしながら、その他意のなさが問題だと思うのは私だけでしょうか?こうした用語の使用にあたっては様々な解釈が伴いますが、現代社会の中では、わざわざ選んで使用する言葉でないことは間違いありません。「昔からそう呼ばれている」というだけの理由で未だに無意識に使うというのであればなおのこと、如何なものかと考えてしまうのです。
少々大げさに言えば、着物に携わる人々の意識のあり方を、一般社会から疑問視される時が来ないうちに、改善を期待したいことの一つなのです。着物は着ても、我々の日常は時代劇の中とは違うのですから。今も崩壊を危惧する話題が立ち消えない着物業界には、こうした身近なことへの対応も含めて、早急に解決しなければならない数多くの課題が残されているに違いありません。