こんにちは。袴地について、ご意見を伺いたいことがあり、書き込みしました。
先日、「ウールや紬に正絹の袴は格があわない」という意見を目にしました。確かに、材質上、見た目の違和感はありますし、そもそも気楽に着る(と私は認識しています)ウ―ルに袴はあわないかな、とうなづけるところもあるのですが、外出着或いは訪問着(と男性で言うのかわかりませんが)と認識されるようになっている紬で袴禁止、ということはないだろうと。そもそも胡坐をかくと脛がはだける着流しは、人の家を訪ねるときには、私にはためらいがあるのです。
なら、紬の袴をあわせるのかな。最近は、サマーウールの袴もあるようだし、と思った時、ふと考えたのです。あれ、袴地って、どんな制約があるんだろう、と。
しわになりにくいことが望ましいのでしょうが、昔は普通に麻の袴もあったはずです。なら、定番の柄や色しかない「袴用反物」でなく、洋裁店などで、好きな色や柄の木綿やウール、麻を選んで、それで袴を仕立ててもらったら、より、好みの袴が手に入るじゃないか、と思ったのです。
どうせ、格式が必要な場合は正絹の袴が望ましいわけですし、ならそれ以外の場は、多少はじけて洒落を気取ってみてもいいんではないかと。
ながながと書きましたが、みなさんはどう思われますか?
ちなみに、私は普段から、時代にある程度沿う着こなしの試みとして、帽子や天然石ブレスレット、ときにはイヤリングやシルバーリングを身につけたりしています。臙脂色の長着を仕立て、次は暗紅色の羽織が欲しいな、などと思っております。
こんな少し邪道な私ですが、みなさんの御意見をいただければ幸いです。よろしくお願いします。

どうも朝路でございます。
>どうせ、格式が必要な場合は正絹の袴が望ましいわけですし、ならそれ以外の場は、多少はじけて洒落を気取ってみてもいいんではないかと。
左様ですね。本好きさんが仰る通りかと存じます。『着物の格』という言葉は便利なものですから、私も良く使いますが、よくよく考えてみますと、「格」ではなく「用途」と言った方が、しっくりするように思うのです。
「紬に正絹の袴…」と言うのは、恐らく仙台平のような袴を用いないということだと思います。紬の着物に紬地の袴を着けることはありますから、正絹の物は全部NGと言う訳ではありません。
色んな説があるかとは存じますが、袴地の制約と言うものは基本的にありません。
制約があるかのように誤解してしまう原因には、紬が普段着であると言うことと、絹と他の繊維を合わせないと言う習慣です。
江戸時代、庶民は作業用の袴以外は普段から着ませんし、公には絹物も着ませんから、正式な場合=裃や紋付を着る場合は、全てが木綿、あるいは麻になります。 武家でも、普段着に紬を着るような人は、役職としては重役クラスですから、袴を着けて出るような場合には紬は着ません。恐らくこれが、紬には袴を着けないという根拠でしょう。
紬は、表面を擦ると照りが出て変色してしまう性質がありますね。紬だけに限らず、絹物の表面は繊細ですから、木綿や麻と言った、表面が粗く堅い物と合わせるのを嫌いました。
あともう一つ原因があるとすれば、それは茶道の所為かも知れません。茶道では、男子は着流しの場合、十徳を着るのが通例で、それ以外の場合は袴を着けます。恐らく徳川の時代では、木綿物で通していたのでしょうが、茶道の高級志向からか、羽二重や縮緬を着用するのが基本となりました。砕けた場合でもお召しまでと言う不文律があります。
つまり『お召しは普段着だけど、将軍様が着ていた物だから紬よりちょっと高級=茶席にOK=袴を着ける』と言うことでしょうか。
さて、私事を申し上げますと、紬に袴を着けることはよくあります。ことに長時間歩かなければならない場合などは、足捌きが良いですから必ず穿きます。紬だから紬の袴と限定はしていません。その時の用途や天候に合わせて、そして見た目のバランスで選んでいます。
間違えてはいけないのは、この生地だから袴を着けても良い、悪いではなく、必要に応じて着ることだと思うのです。
余談になりますが、私はタイが好きで、よく行くものですから、タイシルクを購入して袴を仕立てたこともあります。ジムトンプソンで仕入れた生地は丈夫で光沢も良く、十分に礼装用として使えますし、お土産用のテーブルクロスは化繊ですが、小さな象が並んでいて可愛らしく、お座興用の袴として重宝しています。
用途さえ誤らなければ、邪道なんてことは無いと思いますよ。
末筆に、
>そもそも胡坐をかくと脛がはだける着流しは、人の家を訪ねるときには、私にはためらいがあるのです。
私は胡坐をかかなくとも、足が太いため、裾が開きがちになります。本好きさんが仰るように、裾がはだけるのは見っとも無いことですね。
最近は全く見かけなくなってしまいましたが、まだ和服の男性が珍しくなかった頃は、前掛けをした人をよく見ました。 商人がする紺色の前掛けでは無いですよ。用途としては食べこぼしなどの汚れを防ぐ為でしょうが、裾の開きをカバーする役目もあります。
現在、よく似たような物を探すとすれば、歌舞伎などの舞台でしょうか。所作事で長唄連中が裃で出る時など、唄や三味線は、袴の代わりに前掛けをして並びます。正確には、袴のように見える前掛けです。
例えば、袴を着けるほどでもない外出で、座らなければならないような場合、そんな前掛けを懐に忍ばせて持っていけば重宝します。残念ながら、呉服屋では見かけませんから、自分で作るしかありませんが、造りは簡単ですから、ミシンでよければすぐにできます。
長々と申し上げました。どうぞご容赦を。